あまねく人にイノベーションを!
こんにちは。

以前、ダイナミック・ケイパビリティ論という、経営学で今話題になっている理論について、ご紹介しました。

●競争優位の源泉は「変化し続ける力」にあり!
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また、その論にもとづいた事例として、事業承継における活用(後継者講座)例をご紹介しました。

実は、起業・創業シーンにおいても、この力の有無・優劣は、その成功に大きな影響を与えます。
創業は、言わば究極の不確実性の中での営み、事前の想定どおりに事が運ぶことはまずないからであり、成功した創業事例のかなりの割合が、事業開始直後にビジネスモデルを根本的に変更しているとの研究結果もあります。

*エンデバー(世界的非営利型ベンチャーキャピタル)の1000人近いアントレプレナーを対象に調査を行なったところ、彼らの半数がビジネスモデルを最低でも一度は変更した(『Think Wild』byリンダ・ロッテンバーグ氏著より)

下記は、さる近年急成長中の企業の、創業時〜近未来のビジネスモデルの進化を描いたビジネスモデルキャンバスです。

創業後丸6年が過ぎ7期目に入っていますが、特にこの4年間は成長が著しく、年商ベースでいうと、◯千万円が◯億円と4倍超となっています(その間、私Okadaも微力ながら時折お手伝い)。

創業時は、勤務時に培った人脈(特に取引先)をもとに、勤務時業務に近いビジネスモデルで事業を開始なさいました(緑のふせん部分)。
この時期はいわば混乱期(突然、創業する必要性に迫られた)、潤沢な資金があったわけでもなく、とにかく売上をあげ利益を生まないことには次の段階がない状態、しゃにむに走った時期だったそうです。

なんとか事業からお金が生まれまわるようになって、次に取り組んだのが、利益率向上に向けての新たな事業分野へのチャレンジ、クリーム色部分のビジネスモデルです。
その時最大のリソースとなったのは、それまでに培った顧客基盤。
技術的リソースは、もともと有していたものではなく、新たに外部から組み入れることで整備しました。まさに、リソース・ケイパビリティの再編集(オーケストレーション)です。

その新事業の有望性がどうやら確かという実績がではじめたことから、今般、本社工場を拡張・移転、その稼働率をさらに向上させるため、その設備を使っての新たな別の事業も付加させることとなりました。ピンク色部分のビジネスモデルです。
設備をクリーム色部分の事業と共有しつつ使いますので、これ専用の設備投資は特段発生しません。

思うに、起業家と言われる方々には、いくつか共通する点があるのではと。
そのひとつが、「サブ・ビジネスモデルを連結させながらのビジネスモデル進化(変化)デザイン力と、それを実現するためのリソース・ケイパビリティの再編集力(身軽に動き、外部リソースをうまく活用する)の高さ」です。

今回の事例は、創業後、ギリギリのピンチというところまでには至らず、成長軌道にのった事例ですが、創業直後の状況が事前の想定とは大きく異なり、資金底つきギリギリのところにまで追い込まれつつも、その後V字型で急浮上なさる方々の多くも、「早くPIVOT方向転換し、ビジネスモデルをアジャスト」なさった点で共通していると、経験則上、認識しています。

創業・起業を成功させたければ・・・必要なのは、
「地図ではなくビジョン(方向性)」、言い換えると、
「計画よりデザイン力」、とりわけ、ビジネスモデルデザイン力だと、つくづく思うのです。

それでは。