あまねく人にイノベーションを!
こんにちは。

久しぶりに、ビジネスモデルデザインのプロセスについての事例紹介です。
*実際の案件につき、例によって、画像のふせんはボカしてあります。ご理解のほどお願いいたします。

下記は、さる施術系サービス業で創業なさろうと頑張っておられる方とご一緒に描いた、1枚目のビジネスモデルキャンバス(以下、BMC)です。

ここまで一歩ずつ着実に前進してこられた方で、地元の公的支援機関さんも応援されています。

いつもどおり、インタビュースタイルで思っておられることを教えていただきながら、ペタペタしていく過程で、アレ?という違和感を覚えました。
というのは、冒頭、創業セミナー等でもよく見られる「できること」「やりたいこと」「求められること」の3つのフレーム(下記画像の様な)で整理した資料をお見せいただいたのですが、それとの違和感。

創業セミナー等でよくあるのは、この3つの切り口から箇条書きでご本人に列挙させるやり方。
詳細はここでは省きますが、この「3つの輪フレーム」は、経験上私は(あくまでも私個人としてはですが)注意を要すると考えています。
最も大切なことは、数多く列挙することではなく、ご本人の心の奥底にあって、そしてご本人を突き動かしているものは何なのかを推しはかること。それは「やりたいこと」にあるかもしれないし、「やれること」、あるいは「求められること」かもしれない。
「この3つの輪の重なるところでビジネスをする」というのは多くの場合結果論であって、最初から揃っていることはごく稀、多くの「創業をお考えの方」に「今」必要なのは、未来の結果論ではなく、「今」自分をつき動かしている根っこにあるものを起点に、今後、具体的にどう動いていくかのプロセスのデザインであり、ビジネス構造のデザインです。
BMCを使うと、それが可能となります。

たくさん列挙するのではなく、たったひとつだけでいいので、最もコアとなるものをまずはキャンバス上のいずれかに置き、その後を描いていく…

ちょっと脱線しましたが、今回の場合も、ご準備いただいた資料からたったひとつの「根っこ」を推察させていただき(そういう意味では、事前にご用意いただいた資料は大いに役立ちました)、そこを起点にビジネスモデルをデザインしていきました。
結果、事業立ち上げ時のビジネスモデルと、その後のビジネスモデルの複合的BMCとなりました(こういうケース、よくあります)。
ただ、この時点では、前者のValue Propositionと後者のそれとの異質感は解消できておらず、したがって、2つのモデルの連結までには至りませんでした。

数日後再度お会いし、今度は、立ち上げ時のビジネスモデル部分にフォーカス、まずはValue propositionを先鋭化させようと、ご一緒にValue proposition canvas(以下、VPC)で取り組みました。

まずは120%ハッピーにしてさしあげたい具体的な架空の方を設定、状況を浮かばせていきます。
いわゆるペルソナの設定と言っていいですが、ここでは簡易的なもので十分です。
で、ご本人にそのペルソナ自身になりきっていただき、私がインタビューアーとなり問いを投げかけていく…ここで有効なのは、ヒアリングでもコーチングでもカウンセリングでもない、ましてや分析でもない、インタビューです。
目的は、ジョブそしてフリクションを浮かび上がらせること、そのためには、インタビューが妥当です。

じっくり取り組んでいただいた後は、ジョブおよび重要フリクションの特定をし、「ではどうする?」でアイデア出し。
その途中で当初設定した「立ち上げ時部分のValue Proposition」とのズレが出始め、最後には、自然に、根っこにつながる新たなValue Propositionの言語化へとつながり、それにあわせ、BMCを更新しました(描き直すのではなく、更新、むしろ進化という点に留意)。

最後に、近日中にイベントがあるということでしたので、VPCで浮かび上がらせた情報をもとに、基本的なセールスライティングに、これもご一緒に取り組み、今回のお手伝いの一区切りとしました。

ぼかしてはいますが…どういう構成になっているか、わかる人にはわかりますね、これ 😉

BMCは確かに起業・創業案件ではとても使いやすいもので、活用は広がってきていると思います。
反面、まだまだチェックリスト・情報整理ツール、ないしは、アイデアの可視化ツールとしての活用が大半ではないかと思います。
もちろん、そういった使い方だけでも従前のやり方よりは効果は大でしょうが、それらは、本来の機能ではなく入り口部分のもの、より強いビジネスモデルへとしていくためのデザインツールとしての使い方が本来と言えます。

そのためには、時間軸を設定、Value propositionを核として、BMCとVPCを連結させ、一度描いたBMCをドンドン更新していくのが効果的です。
今回は、そのプロセスがわかりやすい事例でしたので、ご紹介させていただきました。
今回のご本人も、今後、どんどん進化なさっていくことでしょう。

それでは。