あまねく人にイノベーションを!
こんにちは。

みなさん、ビジネスモデルという言葉の定義、どうとらえておられます?

ビジネスモデルキャンバスを使いこなしていらっしゃる方は、たぶん、以下のいずれかでしょうね
●どのように価値を創造し顧客に届けるかを、論理的に記述したもの(「Business Model Generation」by アレックス・オスターワルダー&イヴ・ピニュール両先生より)
●どのように価値を創造し顧客に届けるかを、論理的かつ構造的に記述したもの(上記をもとにした、BMIAでの定義)

ただ、その定義は、人or時代によってかなりバラツキがあり、ビジネス現場においては、そのバラツキゆえのちょっとした問題が生じることがあります。
ビジネスモデルキャンバスは、既にビジネスモデルデザインの共通言語としてデファクトスタンダード化していますが、共有する人の間でその言葉の定義のズレがあまりにも大きい状態は、実務的に好ましいとは言えません。
たとえズレているとしても、そのズレの正体を知った上でBMCを活用しないと、せっかくの共通言語機能が活きてきません。

下記は、様々な研究者による定義です。
●どうすれば会社がうまくいくかを語る筋書き(マグレッタ 2002)
●いかにして長期的に利益を上げるかの計画(アファ&トゥシイ 2003)
●企業の戦略における収入、コスト、利益の経済性に関わるもの(トンプソン&ストリックランド 2003)
●儲けるための仕組み(アファ 2004)
●アイデアやテクノロジーを経済的な結果に結びつけるための枠組み(チェスブロー 2006)
●企業がいかに価値を生み出し顧客に伝達し、対価を利益に変換するか(ティース 2010)
●その企業がどのようにして一定層の顧客に価値を提供し、利益を得るかを定義するもの(ジョンソン 2010)
●どのように価値を創造し顧客に届けるかを、論理的に記述したもの(オスターワルダー&ピニュール 2010)
*『異業種に学ぶビジネスモデル』(日本経済新聞出版社・山田英夫先生)P18図表1-2に岡田が加筆–Amazonでのご購入こちら

前の方と後の方とでは、まるで別物?とも思えるほどです。
これは、そもそもビジネスモデルという概念が、ビジネスの現場から自然に生まれてきたからのものだからではないでしょうか。

列挙されている各定義を眺めると、前半は利益・収益といった「お金」ワードが核、後半は「顧客価値」が核となっていることに気づかれるのではないでしょうか。
その境目は、2008年–2009年あたり?とも思えたりします。

2008年–2009年あたりと言えば…そう、リーマンショックの時期です。ある意味、「お金」中心の資本主義のあり方の限界を露呈した時期ということをあわせて考えると、この「お金から顧客価値」への定義の移行には、とても興味深いものを感じます。

「お金」を核とした定義、「顧客価値」を核とした定義、いずれも正しいわけで、大切なのは、それぞれ適切なシーンにおいて適切に使いわけることでしょう。
ビジネスモデルキャンバスを使ったビジネスモデルデザインでは、明らかに「顧客価値」(価値提案)を核としていますが、「お金」に関する収益モデルも包含しています。
したがって、両者の視点共備えておくことが、使いこなすには重要と言えるでしょう。

ご参考までに。
それでは。