あまねく人にイノベーションを!
こんにちは。

前回は、現代の「持続的共創優位の源泉」として注目されているダイナミック・ケイパビリティについて、ご紹介させていただきました。
(前回投稿はこちら

その際ご紹介した書籍『ダイナミック・ケイパビリティ戦略』(byデイヴィッド・J・ティース教授)

の訳者のお一人、谷口和弘慶應義塾大学商学部教授のお言葉を若干お借りし、かつ私の解釈を加えると、企業が有する「個別資源」−「ケイパビリティ」の関係は、下記のようなメタファーでとらえると、理解しやすいのではないでしょうか。

●個別資源ー料理の食材・調理器具(包丁etc.)
●ケイパビリティ−上記を使って美味しい料理をつくる「料理の腕」

「いい食材」と「優れた包丁」があっても、それだけでは美味しい料理はできませんよね、それを可能にする「料理の腕」がないと。
では、「料理の腕」があれば、それで、そのお店は持続的な競争優位を実現できるかというと・・・そう簡単にはいかないですよね。

・地球規模の天候不順による食材の調達難
・圧倒的安さにもかかわらず、そこそこの料理を出す「破壊的イノベーター」の出現
・最近では「不味い店」を探す方が難しいほどの、「美味い店」のコモディティ化
・お客さんのライフスタイルや嗜好の変化、商圏内人口の減少
・その他、数限りなく?
の、「お店の競争優位」を揺るがしかねない要因があって、というか、思いもかけないものすらあらわれたり、さらにはそれらが複雑に絡み合って、かつ高速に変化して・・・
予想のできない、「わけのわからない」−VUCAの時代なわけです。
となると、それにあわせて(むしろリードするほどに)、事業のあり方も変えていかなければいけない、しかも、継続的に進化させていかなくてはならない。
そう、その「変わる力・変わり続ける力」こそがダイナミック・ケイパビリティ、ゆえに、現代における「持続的競争優位の源泉」となるわけです。

*谷口教授は、こちら(テンミニッツテレビ・オピニオン)で、フグ料理になぞらえてわかりやすく解説なさっておられます。

さて、そうなると、その「ダイナミック・ケイパビリティを企業が身につけるにはどうしたらいいのか」を知りたくなりますね。

ダイナミック・ケイパビリティ論においては、ダイナミック・ケイパビリティを構成する要素として、下記の3つが挙げられています。
●感知(Sencing)−事業機会と脅威の探索・感知・形成
●捕捉(Seizing)−機会の捕捉に向けた製品アーキテクチャとビジネスモデルの選択など
●変革(Transforming)−新しい競争優位を確立するための、自社内外の資源・ケイパビリティの再編集
図にすると、下記のようになります。

ということは、上図のサイクルをグルグル連続してまわせる企業となれば、VUCAの時代でも持続的競争優位を実現する可能性が高まるということ、しかも、「捕捉」の手段として、「ビジネスモデルの選択」が明示されている・・・ビジネスモデルキャンバスの使い手のみなさん、出番ですよ! 🙂

単にサイクルをまわすだけではなく、進化ということなので、実際は下図のようにとらえる方が実務的でしょう。

では、そのサイクルを回せるようになるためには、さらに具体的に何をどうしたらいいのか?
私たち実務レベルの者としては、そこを知りたいところですよね。

前回ご紹介した書籍でも、いくつかの方策について言及はされていますが、これに関しては各企業毎にデザインするのがやはり妥当でしょう。
そして、その具体的デザインと実行のお手伝いこそが、私たちdラボメンバーの腕の見せどころと。

ということで、現時点で私たちが考えていることについては、Part3で述べさせていただきます。

それでは。