あまねく人にイノベーションを!

こんにちは。
先日、実に興味深い資料と記載の存在に気づきました。

『産業競争力強化法における 市区町村による創業支援のガイドライン』
(中小企業庁 創業・新事業促進課 / 総務省 地域政策課)

現在、創業塾・スクールをはじめとした公的創業支援施策のベースとして位置づけられているのが、この「産業競争力強化法」です(もちろん全てではないでしょうが、基本的にはほとんどと言っていいかと)。
現在、同法を根拠法として、お国は、各市区町村に対し、創業支援に積極的に取り組むよう呼びかけています。
このガイドラインは、言ってみれば、そのための各市町村の指針となるものと考えてもいいでしょう。

この資料P24〜25には、「創業に必要な要素」が明記されていて、「関係機関・関係者と連携して支援を」と呼びかけられています。下記が、その部分です。

ここには、しっかりと「ビジネスモデルの構築の仕方」が必要な要素として明記されています。

しかも、よくみると、その前後−「2.ターゲット市場の見つけ方」「3.売れる商品・サービスの作り方」も、さらには「5.適正な価格の設定と販売方法について」の最初の部分も、言ってみれば、ビジネスモデルデザインの範疇とも考えられます。
ナント、実質上、ビジネスモデルデザインは、全体の半分近くをも占めているわけです。 😯 
一方、「事業計画書の作り方」は、ゴールに近い部分に、一項目として位置付けられています。

また、これと同様の内容を、わかりやすいカスタマージャーニー的な図でも、サンプルとして表現されています。↓

こちらは、時間の感覚も盛り込まれていますので、よりわかりやすいかもしれませんね。
これによると・・・やはりビジネスモデルデザインに取り組む期間が最も長い−創業者にとって踏ん張りどころと捉えられている?
ビジネスモデルデザインは、スピーディーに何度も試行錯誤を重ねていくことが求められるステージ、さもありなんです。

では、これに対し、現在の公的支援メニューは、どの点にウェイトが置かれているのでしょうか?
これについては、別の資料に興味深い記載がありました。それが下記の表です。

この表は、経済産業省 女性活躍推進基盤整備委託事業「女性起業家等支援ネットワーク構築事業」として、実施されている『わたしの起業応援net』というWEBサイト(よくできているサイトと思います)内に掲載されている表の一部です。
ここでは、起業前後の各ステージ毎に、どんな公的なサポートメニューが展開されているかが、実にわかりやすく表現されています。
「平成27年度産業経済研究委託事業(女性起業家等実態調査)報告書」に基づいて作成されたとのことなので、その報告書も確認してみたところ、どうやら、現状(従来)ある公的創業支援施策を列挙して整理したものを対応させているようです。

これをみると・・・あれ?
「やりたいことを明確にする、起業するか考える」の後に、いきなり「事業の計画を立てる・相談をする」となっています。

産業競争力強化法に基づくガイドラインで、圧倒的なボリュームだった「ビジネスモデルデザイン」は、いったいどこへ行ったの?

この表は、「現在、展開されている(これまで展開されてきた)主要施策」を対応させたもの、一方産業競争力強化法は、近年成立し、注力強化が図られているもの、とすると、このGAPの意味するところは・・・
時代の移り変わりの中において生じている「時間的GAP」と考えられるのではないでしょうか?
「事業計画の中にビジネスモデルも含まれる、だから、従来も取り組んでいた」という考えも理屈としては成り立つでしょうが、あれだけのボリューム差を考えると正直、実務的には説得力を欠くと言わざるをえないかと・・・。
それに、ビジネスモデルをデザインする視点と、事業計画(ビジネスプラン)をつくる視点は大きく異なりますし(この点の詳細については、今回は省きます)。

ただ、このところ、このGAPの存在に気づき、問題意識を感じておられる自治体さん、商工会議所・商工会さんは確実に増えてきていることは間違いなく、そういう意味では、今後、このGAPの解消は、急速に進んでいくであろうとの予測もできそうです。期待したいところです。

現在、私たちが多少なりともお手伝いさせていただいている創業塾・セミナー等は、基本的に全て、この新しい流れにそい、ビジネスモデルデザインを主体としたコンテンツとなっています。
実は、ビジネスモデルデザインを主体とした方が、事業計画も質の良いものが、しかも短期間で組み立てられることも実感しています。

創業を志される方が、時代の流れにそって前進していかれるよう、もっともっと、輪を広げていかねば、それが、国策にそうことでもあることを、このガイドラインを確認して、あらためて意を強くしたのでした。

それでは。